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関東圏の感染者が減らぬ原因が透けて見える事例 [睡夢庵 日々徒然]

【 関東圏の感染者が減らぬ原因が透けて見える事例 】

2020/09/24 報道に東京都江戸川区の「タカラ食品工業葛西工場」で従業員78名が新型コロナウイルスに感染したとありました。

その報道内容を見て暗然、これでは感染拡大を抑えられないわ・・・

区の発表ではこの工場では12日迄に従業員5人の感染が確認されていたにも関わらず即日全従業員の検査を行わなかった様です。
で、21日迄に他に25名の陽性が判明し、その後保健所が未検査の従業員を検査し、さらに48人の感染がわかった、となっていました。

この工場の従業員も可哀そうですね。 12日時点で残りの全従業員の検査を行っていれば多分残りの半数位は感染せずに済んだのではないでしょうか。
工場サイドが非協力的でなかったとすれば、これは行政の明らかな怠慢としか言いようがない。

これだけではありません。 09/27 の報道には 09/26 に判明した検査結果は検査数が今月最多の 6,546 件にのぼった23日のものが中心だったとし、この為陽性者が増えたとしているそうです、と淡々と報道されています。 感染を食い止められない原因がどこにあるのか分かってないのですかね。 これは既に6千件で検査体制がサチっている事の表れでしょう。 日量1万件は可能とか言っているようですが、実力は4千件程度しかないのでしょうね。

まず第一に翌日中に検査結果が出ず3日もかかっている事が最大の問題です。 発症期間および菌放出リスクが高い期間を考えれば、これでは後追いの効果が半減する事が理解されていない、未だに唯々検査に追われるだけの状況が改善されていない事が分かります。 今日日に至って24時間以内に結果が出せていないという事はこれらを管理・運営する組織は仕事が出来る組織ではないとしか思えません。

すこし状態が好転したら、現在の感染症だけでなく、医療政策の立案・運営組織全てを組み替える必要がありますね。 現状の頭に今後を任せていては患者を増やすだけでなく、日本経済に与えるダメージが大きくなるばかり・・・

同様の事例が神奈川県でも起きている様です。 神奈川県警高津警察署では25日時点で10人の感染が確認され、全署員230名中85人が自宅待機中とか。 また、24日には既に4回目の署内消毒を行ったとか。
最初の感染者が何時なのかは分かりませんが、感染者の中には自主検査で陽性が確認された人も出ている様です。 行政組織の中でも稼働率が高くなければならない組織に対しても直ちにスクリーニングを行うといった対応がとられなかった為のクラスター化と言えるでしょう。

余程検査負荷が逼迫しているのなら別ですが、最盛期に比べれば遥かに負荷は減っており現状では能力の半分も検査していないのでは?

以下、厚生労働省の報道資料にある「都道府県別・PCR検査実施人数の累計」( 期間:2020/09/04-09/17 2週間 )から感染者1人当たり何人の検査が行われたかを出してみると

     期間内検査数  期間内感染者数  検査数/人  検査数/日
北海道    5,162        96      54     369

東京都   58,727       2,133      28    4,195
神奈川県  15,642        893      18    1,117
埼玉県   15,582        293      53    1,113
千葉県   14,106        357      40    1,008

山梨県     522         7      75      37
静岡県    4,060        27      150     290
愛知県   10,058        363      28     718

大阪府   23,126        960      24    1,652
和歌山県    232         5      46      17
兵庫県    5,017        209      24     358

広島県    1,261        15      84      90
山口県    1,492        17      88     107

福岡県    2,916        226      13     208
熊本県    4,039        34      119     289
大分県    1,884         5      377     135
長崎県    1,693         2      847     121

これを見ると感染者が出続ける都道府県の検査数が発生患者数に対して少過ぎる事が分かります。 これは期間内の感染者数だけで割っていますが、これ以外に既感染者や医療業務従事者、海外渡航者等に対する検査も行われているはずですから、もぐら叩き分はその分減ってしまうはずです。

東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、福岡・・・現状でも能力不足なのはこれからでも明らかですが、国内での初感染からすでに8か月以上経過しているにも関わらずこれらの都府県では状況が変わっていない。 第1波の際の最大検査数をこなし続けていれば、第2波の様な数字は出ないはず。

東京都等1万件以上の能力ありといいながら、5000件をやっと超えるか超えないか。 この期間をみると謳い文句の4割です。 今謳い文句通りの検査数がこなせていればこんなに感染者が増える事はなかったはずです。 それにこの数字、民間や大学、研究機関、病院での検査数を含めてです。 都や国の機関だけで検査出来ているのは確か2名にも満たなかった?かと思います。
本当に自分たちが核かつ癌だという認識があるのでしょうかね。 良くも悪くも全ての原因者なのに・・・

ここで上がっている数字をみると1人当たり70件以上の県では感染者の発生が発症期間以上途切れており、ほぼ副次感染者の発生を抑え込めている事が分かります。
これから分かる喫緊の課題は50件以下の都道府県を速やかになくす事です。

ただ、視点を人口に置き換えると形勢は逆転し、東京都が一番検査をしている事になる・・・実際の検査能力という点からは、例えば広島は東京都の1/10の能力しかありません。
という事は・・・米国の様な状況になると手の打ちようもないばかりでなく、被疑患者すべての検査すらままならない事を意味しています。
こういう状況を既に半年以上改善する事が出来ていない・・・一体どこまで日本の行政組織の能力が低下したのか暗然とならざるを得ません。

出ている報道では東京都では従来退院の条件が“2回連続して検査陰性”にならなければならなかったものが、軽症程度であれば“発症から12日経過すれば”で検査なしに大幅に緩めているらしいですが、それでこの数字ですからとても収束には向かおうはずもありません。 現場負荷はグンと軽くなっているはずですが? なんで手抜き方向にしか動かないのか・・・

それと現在でも未だに体温37.5℃を金科玉条の如く掲げ患者選別をしているらしいです。 当初から阿呆なと思っていましたが、0.1℃差の様に体温計の許容測定誤差以下の違いで選別するなんて・・・

私は毎朝体温を測っていますが、複数回測れば0.1℃差なんて・・・予測型電子式だと当て方次第で0.3℃位の変動は幾らでも起きます。
それにその人の基礎体温も考慮しなければなりませんが、現場ではそんなもの知った事ではないですからね。 37.5℃でも濡れ雑巾の様になる人もいますが、40℃でも普通に活動出来る人もいます。

予測型電子体温計のJIS規格での許容測定誤差は確か±0.2℃、精度が高い測定時間が5~10分掛かる実測式でも±0.1℃ですから。
しかもこの誤差は恒温水槽で計測範囲での誤差幅を評価したものですからね。

実用では室内温度や既に温まった状態という様な筐体条件の影響も受けますので当然ながらこれ以上の誤差が出ます。

水銀式体温計であれば5~10分挟んでいればほぼ誤差は出ないでしょうが、水銀式体温計の類も2017年8月16日の水俣条約発効により、今年度末で製造販売は終了します。
法的には現在使用中の物は使えますが、退蔵を防ぐため行政が回収を始めているようですから急速に減っていくのではないでしょかね。

こういう環境である以上体温を切り捨てる為の閾値にするのははっきりいって逆にリスクしかないですね。

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☆ 新型コロナ対策分科会 感染リスクを高めやすい7つの類型提示
                    2020/09/25 22:03 毎日新聞

1. 飲酒を伴う親睦会
2. 大人数や深夜に及ぶ飲食
3. 大人数やマスクなしでの会話
4. 仕事後や休憩時間
5. 集団生活
6. 激しい呼吸を伴う運動
7. 屋外での活動の前後

まぁ、此処までのクラスターの発生事例を見ていればこれらは既に常識化した項目な筈ですが、これを回避しようとしない輩がいますからね。
これらの標語を大々的に掲げたとしても、意識的に抵抗したり破る事に快感を覚える連中が出る事は避けられません。

この輩の存在確率だけで感染を拡大若しくは収束を阻害するには十分な数ですから・・・特に大都会程“衆に紛れれば”・・・
それが、東京、神奈川、大阪、名古屋といった大都市圏での減少の底の高さを表します。

そしてこれが次の起爆剤の元・・・欧州でフランス、スペイン、オランダ、ベルギーといった個人主義的性向が強い処から感染拡大が急速に進行しているのもこの表れ。

これから冬に向かって換気が行き届かなくなるでしょうし、どうしても密な空間に留まるリスクが上がりますから、労働集約型の工場等では感染回避策を講じなければ「クラスターリスク」高まります。
つぎの感染拡大の起爆剤にこういうところがなってしまう可能性が高まっていると言えるでしょう。

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《 国内状況 》

空港検疫捕捉感染者
20200927_空港検疫捕捉.png
死者発生県における致死率
20200927_都道府県別死亡率.png
地方別感染者数推移(3/13以降)
20200927_地域別件数推移.png
上位9県感染者累積
20200927_上位件数伸び.png
関東7県日別感染者数
20200927_関東日別発生件数.png
都道府県別発生日数(6/21以降)
20200927_都道府県別発生日数.png
感染者数・死亡者数相関
20200927_感染・死亡者数推移.png

20200927_週別増減傾向.png左図は週間の感染者数増減率をみたものです。 1以下であれば減少傾向にある事を示しますが、ほぼ一定率で推移するのは現状の感染者数で高止まりしてしまった事を示します。 関東及び関西は増加に転じ兼ねない動きになっています。
欧州はほぼすべて、米国、ロシアなどもまた上昇に転じました。 皆、経済の破綻を恐れるあまり収束前に経済活動を再開したつけをこれから払う事になろうとしています。 日本は第1波の際にあと1週間我慢出来ていれば状況は変わっていたかもしれません。
いずれにせよ、国家間だけではなく、生産活動から家庭生活迄全てを「新型コロナウイルスありき」に切り替えて行かざるを得ない状況になっているのは間違いありません。

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《 海外状況 》

上位4か国の感染者推移
20200927_10万当たり.png
第二波に晒されている国
20200927_2ndWave.png
EU諸国の現状
20200927_EU.png
感染者を出しながらもほぼコントロールに成功している国
20200927_Suc-CTRL.png


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