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インナー・イヤー型イヤフォンの調達と評価 [睡夢庵の電脳環境]

ELECOM LBT-PAR500AV を購入後は1日4~5時間、Sony MDR-F1 メインで音楽やTVを聴いていましたが、今の時期ヘッドフォンでは暑苦しく、パッドに汗がついてしまいます。 イヤフォンの方が動き廻るにはよいのですが、Mac iPod MA662G/A では特にJPop のCD音源を聴くと低域・高域が気になります。

で、我慢出来ずにインナーイヤー型の廉価~中級品3種を購入してみました。
近傍の家電量販店やPCショップを廻ってみましたが、カナル型ばかりでインナーイヤー型はTV用やファッション用の様なものしかありませんでしたのでネット調達です。

製品名音圧レベル最大入力インピーダンス再生周波数帯域重量
Sennheiser MX 375 122dB 100mW 32Ω 18-22000Hz12.1g
Audio Technica
  ATH-CM707
 104dB 100mW 16Ω 10-24000Hz12.7g
Pioneer SE-CE511-K  104dB 100mW 32Ω 20-21000Hz11.8g

ATH-CM707 オープンエアとの記述がなかったのでハテ?と思っていたら、イヤフォン自体は背圧を抜く構造ではなく密閉型でした。
各イヤフォンの重量はケーブル込みの実測値です。

earphone_MX-375.jpg 断然お薦め!
iPod MA662G/A より
格段に良し
K240 Studio に勝る?
earphone_ATH-CM707.jpg 只今エージング中
どこまで良くなる?
期待を込めて(^^)
earphone_SE-CE511-K.jpg 耳に合わず(^^;)


《現有機種の特徴》
SONY MDR-F1 一番の特徴は素直に伸びた高域と締まった低域でしょう。
全く強調感がありませんから特に低域は寂しいと感じる
方も多いでしょうが、チェロやコントラバスの胴鳴りも
チャンと色気を持って再現してくれています。
特に女性歌手の歌声を艶と色気を持って再現する点では
遥かにスピーカーを凌ぎます。
他からこれに代えるとホッと落ち着いて音に浸れます。
長時間聴いていても聴き疲れしないで済みますよ。
音に対する反応も良く粒立ちのよい煌いた音です。
只、余りにも素直な為、出ている音に気付かない
事が(^^;)
K240 で聴いてあれ?で聴き直すと確かに・・・
AKG K240 Studio  先代のK240 Masterから続くStudioシリーズですが、
これは米国を中心に Studio 技術者に長く支持し
続けられています。 素直な周波数特性と入って
いる音を細大漏らさず再現する能力が魅力です。
ケーブルがヘッドフォン側で外せるなどモニター
らしい配慮が嬉しい製品です。
AKG K240 Studio はセミ・オープンなので低域の
厚みが増しますが、これが少しく私の好みから
外れる為、AKG K240 の評点に大きく影響しています。
わたしには密閉~セミ・オープンの低域は出過ぎで
煩く、ボーカル/透き通る高域が霞む様に感じてしまい
ます(^^) 又、音が籠もり纏わり付く様にも・・・
音源に含まれる音を明瞭に拾い出すと言う点においては
Studio Monitor 用らしく Sony MDR-F1 を凌いで
います。
オイゲン・キケロではドラムのスティックワークの
全てが意識せず耳に入って来ます(^^)
この為、密閉型の音に抵抗がない方にはAKG K240
の方が高く評価されると思います。
Mac iPod MA662G/A  iPod M8946J/A? か iPod nano MA477J/A? かに
付属していたもので、当時そのオールラウンドな
再現力に吃驚したものでした。 只、もう10年
以上使っておりポケットや鞄の中に押込める等
荒く使って来たせいか特に右側の高域が歪っぽく
なっています。 それでも今迄に製品に付属した
イヤフォンでは私には一番合い、全てこれで済ませて
きました。


《導入機種の評価》

何れもそのままでは耳への収まりが悪いだけでなく、高域が強調されるきらいがありましたので、すべてパッドを取り付けて試聴しています。
MX 375  これはいい!! 音楽を聴かせてくれます。 そして嬉しい事に
オールラウンダー! 聴き疲れしないし、とても耳にチョン掛け
したイヤフォンとは思えない広がりと厚みのある音です。
K240 Studio よりも好きですね。 嬉しい誤算(^^)
それに指でユニットを動かして見ても殆ど音に影響が出ない点も
秀逸です。
この音は好きですね~ 澄んで伸びのある高域と適度の厚みと
締まりのある低域です。
中域がシッカリしていますので、女性ボーカルが皆いい。
コレギウムアウレウムの弦のちょっとくぐもった様な色合いも
ちゃんと出ていますし、デュ・プレのダイナミックなボウイングと
ヤニを纏った鳴きも
ヘイリー・ウェステンラのよく伸びる倍音成分一杯の高域も
チャンと輝きを持って歪まずに再生してくれます。
ナナ・ムスクーリでは抜群の艶と伸びを聴かせます。
高橋由美子・柏原芳恵も強過ぎるバックに負けませんし。
只、録音側のオーバーシュートには敏感に反応し余分な音が
乗って来る時があります。
SE-CE511-K  装着感、パッドなしでは収まりが悪くて・・・
パッドを付けると一寸口径が私の耳には大きく、耳球に圧迫感が
出ます。
又、ストレートなロッド部がケーブルに引っ張られ内側に
倒れこむ為、音が変わってしまいユニットの良さが消えて
しまいます。
消しゴムを切ってロッド部の内側に貼り付けるという処置を
加えましたが、最良ポイントに置けず、指で押さえておく必要が
あります。
残念ながらこの時点で失格ですね(^^;)

一応処置後試聴を続けましたが、ユニットとしてはこの価格
ならいいんじゃない、と言うレベルです。
全体的に高域よりの音です。 レコードのスクラッチが、結構
プツプツ直接来ます。 低域の伸びと締まりが・・・
全体的に固めに感じますが、私が聴くJPop では大きな破綻は
みせません。
ブーストして聴く方にはこちらの方がいいのかも(^^)
ヘイリー・ウェステンラ辺りになると高域に余分な音が纏わり
付き、オペラ座の怪人ではアルトが破綻を見せますね~。
結局EQを掛けて刺激音を抑えたくなります。

クラシックでは全体に薄味になってしまいますが、それなりに
聴かせてくれます。 只、二胡やジプシーとなると細かな処で
一寸音が出て来ません。
スピーカユニット部の素性は良い様ですがその良さを殺している
デザインがなんとも・・・
ATH-CM707  最後に試聴を開始したのですが、最初で嘘でしょ?
どうにも耐えられず、EQで70Hz-4dB/100Hz-3.1dB/12KHz
-1.9dB/14KHz-3.1dB/16KHz-6.0dB と低・高域を抑え込んで
やっとなんとか・・・
これではどうしようもないのでエージングを掛けて見る事に
して、評価中止。 正直、なんじゃこれは!音楽にならず。

エージングで変わる事に期待を掛けて・・・

10%-15時間 未だ音楽にならず・・・

30%-15時間 すこしは聴ける様になってきましたがマダマダ
      高域がギラついた刺激音。 中域不足・・・
      耳が痛い位パワーを入れるとすこしまともな
      バランスになりますが、使えるレベルになし

50%-15時間 未だ高域の硬さはありますが、良くなりました。
      中域が大分スムーズに前に出てきましたので
      女性ボーカルも聴くに耐える様になりました。
      評価はこの時点のものにしました。

エージング45時間経過時点の音を聴くとスピーカー・ユニットの
質は非常に良い様です。 ドラム・ベース・チェロ等張りのある
良い音を聴かせる様になりました。 30時間目迄は駄目だった
高橋由美子や岩崎良美、柏原芳恵等も声がちゃんと前に出て来る
様になり、張りと艶のある声を再現する様になりました。
只、未だ高域が動き切っていない様で石川さゆりでは歪んで
しまいます。 ウェステンラも余分な高域が付きますね。
チャーチの高域が抜け良く聴こえるのは? まだ硬質です。
中域が出る様になったのでオーケストラや協奏曲などで楽器の
バランスが崩れる事がなくなりましたし、コンサート・グランド
の高域に妙なエコーが付かなくなってきました。
最初の印象とはガラリと変わり、これ結構いいぞ!です。
只、未だ音量での表情変化が大きく、録音の粗をより強調する
みたいな気がします。 レコードのスクラッチノイズが
プツッではなくピチッに近いですから、高域がまだまだ硬い
のでしょう。
装着感は結構良いですね。 私の耳にはサイズが合ってます。
ケーブルが 60cm と短く出来るのはデスクでのながら聴きでは
邪魔にならずに済みます。 35mm厚のハード・ケースがついて
いますがこれは・・・私には巾着型のポーチで十分と思えます。

評価は以下の5段階で行います。 試聴構成は

SUB-->Winamp/イコライザー=off-->LBT-PAR500AV+イヤフォン
音量は同程度に聴こえる様個別に調整

秀 : MDR-F1 を凌ぐ表現をみせる
優 : ほぼ MDR-F1 相当の品位・音色・響きを持つ
良 : 雰囲気は薄れるものの必要充分
    サ行強調?若しくは音が多/少な過ぎる様に感じる
可 : 籠もり・シャクレで歪っぽく聴こえる・雰囲気が薄れ寂しく感じる
不 : 曲・声音に合わない
    特に歪み、割れを感じる場合は歪、割と記載

Pioneer SE-CE511-K
Audio Technica ATH-CM707 
Sennheiser MX 375 
Mac iPod MA662G/A 
AKG K240 Studio 
Sony MDR-F1 
曲名他適合性評価結果
国内女性ボーカル
あべ静江 : 愛する人のそばで
Wink : Especially For You
石川さゆり: ウイスキーはお好きですか
五輪真弓 : 恋人よ
岩崎良美 : 赤と黒
岩崎良美 : くちびるからサスペンス
柏原芳恵 : ちょっとなら媚薬
柏原芳恵 : カム・フラージュ
香坂みゆき: いっそセレナーデ
白鳥英美子: アメイジング・グレイス
高橋由美子: 友達でいいから
長山洋子 : 蜩
ハイファイセット: 卒業写真
八神純子 : みずいろの雨
海外女性ボーカル
クリスティーナとウーゴ: コンドルは飛んでいく
サラ・ブライトマン  : オペラ座の怪人
ヘイリー・ウェステンラ : アメイジング・グレイス
シャーロット・チャーチ : O Come, All Ye Faithful
スウィングル・シンガーズ:恋するガリア
ジリオラ・チンクェッティ: 落葉の恋
ナナ・ムスクーリ   : アマポーラ
アストラッド・ジルベルト:Meu Piao
シルヴィ・バルタン : 愛の賛歌
グラシェラ・スサーナ : アドロ
エディット・ピアフ : Adieu Mon Coeur
海外男性ボーカル
キャバレーより  : ウイルコメン
リシャール・アントニー : さすらいの青春
その他
女子十二楽坊 : 奇跡
チェン・ミン : キズナ
東儀秀樹   : 星空につつまれて
ヤーノシュ・ラーツ   : モンティのチャールダーシュ
オイゲン・キケロ・トリオ : C.P.E.バッハ ソルフェジオ
喜多郎    : シルクロード 天竺
クラシック
男女合唱   : 鶴=前線にも春が来た
ピアノ    : ハンガリー狂詩曲 第8番
ピアノ    : ショパン 12の練習曲 作品10-1
オールド・チェンバロ : ジョバンニ・ビッキ トッカータ
パイプオルガン  : 第2旋法によるメイオ・レジスト
ハープ    : ヘンデル ハープ協奏曲 変ロ長調
クラリーノ(トランペット): バッハ ポスト信号のアリア
フルート     : モーツァルト フルート協奏曲 第1番
ヴァイオリン    : バッハ ソナタ 第1番
ヴァイオリン    : サン=サーンス 序奏とロンド・カプリチオーソ
羊腸弦    : アイネ・クライネ・ナハトムジーク
チェロ    : ドボルザーク チェロ協奏曲 ロ短調 104
チェロ    : バッハ 無伴奏チェロ組曲 第1番 ト短調
オーケストラ    : ベートーベン 交響曲第六番 田園
オーケストラ    : モーツァルト 弦楽の為のアダージョとフーガ
オーケストラ    : 交響詩 フィンランディア


《イヤ/ヘッドフォンのエージング方法》

スピーカー/ヘッドフォンの内、特にダイナミック型の場合、当初はスピーカー部のエッジ/コーン/ダンパー/ボイスコイル等の可動部の当りが出ておらず、まともな音が出ないものがあります。 これらがしなやかに動作する様、慣らし運転を行う事を“エージング”といいます。
使用した音源は Vector で入手したもので、その内のピンクノイズを使っています。
取扱説明書が付いていますので、これを参考に実行されればよいでしょう。

Audio Technica ATH-CM707 はその初期状態が余りにも酷く音楽になっていませんでしたので、このエージングを掛ける事にしました。 一般的なエージング時間は60~200時間!!だそうです(^^;)


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