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電脳環境: ヘッドフォンについて [睡夢庵の電脳環境]

【電脳環境: ヘッドフォンについて】

現在メインで使用しているヘッドフォンはSONYのMDR-F1というオープン・エア型のものです。 遂にこれがディスコンになってしまい、ふと気付くと店頭から消えてしまったみたいです。 1997年の発売だったと思いますので、15年ですか。 手持ちのものはステー部が折れて暫定処置で使っていますので、早くもう1個買っておけばよかった・・・

では私がなぜMDR-F1に到ったか・・・現在AKG K240 Studioという音の現場では最も多く使われたであろうものを抑えて、なぜこれがメインなのか・・・

このヘッドフォン、希望小売価格は26,250円と決してお安いものではありません。 その意味でも万人向きじゃないですね。

このヘッドフォンのネット上の評価は装着感に関しては皆さん絶賛に近いのですが、こと音に関しては評価が分かれている様です。 音に関しては価格並みとはいえないという方の方が多いかもしれません。
確かにその音はフラットで押し付けがましさのない滑らかなものですので、多くの国内Pops系のCDの様な音が良いと感じられる方々には物足りないでしょう。 また、密閉型のボンつく様な音に抵抗感がない方も同様ですね。
しかしながら、ナチュラルな音を好み、ヘッドフォンを使う時間が長く、且つ大汗かきの小生にとっては、これはカケガイのない伴侶になっています。

永らく使っていたセットがLAXMAN CL-35/Ⅱ+SONY TA-3200FでスピーカーがTechnics SB-501と云えば音の好みも大体想像がつこうかというものです(^^;)> スピーカーは20cm位迄のシングル若しくは3ウェイかコアキシャルの一部以外は好きになれないですし・・・多くの2ウェイでは頭痛がし始めてしまう輩なのです。
プリの繊細で柔かな響きをパワーの強力な電源と低歪トランジスタ・アンプのダンピングでがっちり抑え、20~30kHzという癖のないフラットな特性のスピーカーで聴くというのが私のポリシー(^^;) 現在はよりシンプルにして、ONKYOのSE-U33GXのPhono出力を直接3200Fに入れて聴いています。 僅か1万にしてはこのPhonoアンプ、癖がなく結構いいですから。

さて、ヘッドフォンはというと当初から贅沢をしており、STAXを使っていました。 当時(今も?)は別格と評され(価格も手取りの半分位でしたから、今の価格にすれば7~8万?)、生半可なスピーカーでは聞き取れない息遣いやピアノのペダリング、弦の余韻迄再現してくれるものでした。
MDR-F1はそこまでとはいいませんが、女性の肉声、管・弦・ピアノといった範疇では充分に対抗出来る製品になっています。 只、耳当ての枠が大きいので前後方向にずらせる(ずれる)のですが、これが曲者です。 スピーカ・カバーが耳に当たる位に後に下げるとユニットが耳殻にスッポリ嵌りこむ感じになり、低域が豊かになりますが、密閉型の様な籠もりが出て全体がモヤッとした感じなり、像が左右から上方向に分散定位してしまいます。 Jazzトリオなどでは楽器が妙な位置に定位し違和感を感じます。 かといって前に出し過ぎると低域も高域も寂しく・・・装着位置と音量のコントロールが結構微妙なので使いこなしが難しいヘッドフォンだといって良いでしょう。 でも嵌っている時の音は滑らかかつ艶やかで、これで聴くクリスティーナや柏原芳恵、岩崎良美、あべ静江等々の声はある意味STAXよりも表情と色気がある様に感じています。

最近は首から上の汗の量が若い頃以上になっていますので、故障ユニットの状態を見ているSTAXのイヤー・スピーカーは如何に音が良かろうともう採用はありえません。 で、一昨年引越しを期にSTAXのトランス/アンプは思い切って処分してしまいました。

わたしがMDR-F1に行き着く迄に使ったヘッドフォンは
第1代目 STAX SRA-7+SR-X
sr-x.jpg 1970年に発売されたエレクトロ・スタティク型のヘッドフォン。 1974年に調達、TA-3200Fの2ndスピーカー端子にSRA-7を繋いでドライブ。 音は評判通り、フラットで細密に原音を拾い出してくる物。 パワー感とPops系女性歌手の声以外はSB-501も顔色なし。 但し、定位は少し前に垂直に広がる感じ。 耳当て部分が円形かつ平板な為に結構な側圧を感じ、長時間は厳しい。 後は抜けているが耳側は密閉状態なので駆動素子が最も嫌う汗による湿気が籠もり、5年で駄目に。 1度は素子を交換したが2度目はもっと短命だった為廃棄。
廃棄原因 : 汗の湿気による駆動素子破損
第2代目 STAX SRA-10S+SR-Σ
sr-sigma.jpg 1974年発売のSRA-10はSTAXのエレクトロ・スタティック型イヤー・スピーカー専用のプリメイン・アンプ。 1975年に調達、当初はSR-Xで使用。 1982年SR-Xの廃棄に伴い少し構造の異なるSR-Σに切り替え。 これはSR-Xより一段繊細な音を聴かせ、前方に定位する様になっていましたのでよりクラシック、それも大構成向きになっていました。 只、耳にスピーカーをくっ付けた様に大仰な形状で、音的にはSR-Xを聴いた時程の衝撃はありませんでした。 84年から約10年間は子供が生まれるやら、仕事が忙しくなるやらでオーディオの世界に浸る時間とお金が殆ど取れず・・・半リタイア状態
廃棄原因 : 汗の湿気による駆動素子劣化と落下による破損
第3代目 SONY MDR-IF230
mdr-if230.jpg これは赤外線周波数変調方式のコードレス・ヘッドフォン。 SR-Σがケーブルを引っ掛け落っことしてご臨終になってその代替。 モジュールの状態を見ると汗の影響がありありと残っており、この時点で同型機を購入する意欲を失いました。 専用アンプ類は元箱に戻して天袋の中で冬眠させることに。 歳をくい、この音が恋しくなったらまた・・・この時期は家でもながら聴きの状態でしたので、そこそこの音質であれば、動き回れる方を優先する事にしたのが理由です。 1998年調達。 周波数帯域18~22,000Hz、音質はコードレスの中では最もナチュラルでPopsとクラシックには合っていた。 ドルビー/マルチチャンネル等といった擬似サラウンドの音は耳が受付けないのでその意味でもあまり選択肢はありませんでしたが。 また、ヘッド周りは全て樹脂なので汗の影響は殆ど受けないのがメリット。 それにオープン・エアといっても良い構造で周囲の音が聞こえるのも買いの一項でした。 値段も安いので、又落っことして壊れても・・・ 結構ラフに扱ってきましたが、イヤー・パッドを3回交換した位で、未だにバリバリの現役で殆ど劣化を感じずです。
第4代目 SONY MDR-F1
mdr-f1.jpg 少し仕事も落ち着いてゆっくり音を楽しむ時間が出来てしまうとIF230の音では寂しくなってしまい、虫が疼き始めて。 2003年当時、東所沢のLaoxのヘッドフォン売り場は海外ものも扱っており、AKG/Sennheiser/GRADO?だったか、やSONY/audio-technica等のモニタークラス以上の物を比較試聴することが出来ました。 最終的な決め手は癖のないナチュラルな音色と色彩、広い帯域もですが、フルオープンなので汗の湿気が籠もらない事と呼び声や電話など周囲の音も聞こえること、そして軽く頭への馴染みが良いことでした。 夏の間はヘッドバンドにスーパーの薄い包装袋を巻いて止め、ハンカチで挟んで頭に乗っけています(^^;)  ただ、これは12Ωとインピーダンスが低いので、能力のないオペアンプを使ったヘッドフォン出力ではドライブし切れずに靄の懸かったような音になり、これに気付かずに低い評価を下している方も多いのでは?ですね。 MHP-UW1の基板のオペアンプではドライブし切れず非常に寂しい音でした。 また、軽量化の為、フレームやヒンジ部分がマグネシウム合金ダイキャストですがチャチ(薄く且つ細い)で、落っことすと取り付けネジの部分にクラックが入ってしまいます。 私も足を引っ掛けて落っことした結果、見事にここで割れてしまいました。 修理見積りは購入価格の3/4位、それなら新しいのを買った方がいい、で修理は見送り。 どうにか直せないか?でゼム・クリップを使って使える様にしてしまいました。 エクセーヌ素材のイヤーパッド/ヘア・バンドも特徴で、あたりも柔らかで良いですね。 すこしやれて来ていますが、未だ数年は保ちそうです。
その他 ★ ONKYO MHP-UW1
mhp-uw1.jpg MDR-IF230は赤外線なので屋外や物陰では音が途切れてしまいます。 2006年、これを嫌ってG2.4方式のヘッドフォンが出たのでネットで買いました。 が、これは大失敗。 側圧が高くて耳が痛くて付けていられない、音は貧弱・・・ で、ヘッドフォンをバラシて中の基板を使ってヘッドフォン・ジャックを付けて汎用の受信機を作り、K240やiPhoneのイヤフォンで聴いていました。 これだとまともな音がしていましたね。 ただオペアンプの出力と出力インピーダンスの関係からMDR-F1を繋いでボリュームMAXで聴いていたらオペアンプがご昇天・・・
    ★ AKG K240 Studio
akg-k240studio.jpg MDR-F1調達時にこれも比較試聴したのですが、次点としたもの。 2006年にこれも買ってしまいました。 これはセミ・オープンですが買っては見たものの、やはり6~9月は汗だくになって使えません(^^;) 低域が少し籠もる事と音の抜け、スピード感でMDR-F1に一歩譲り、音のナチュラルさ、特に囁く様に甘く歌う女性ヴォーカルの雰囲気も。 ある程度の外部音の遮蔽性が必要でそれなりにパワーを入れて聴くというのであればこれは有力候補に上がるだけの力を持っています。 それにヘッド側でイヤホン・コードが外せ、ちゃんとロック・ボタンが用意されている所は音作りの現場を意識した心憎い配慮です。 欧米のPopsやJazz系には向いていますが、やはりメイン使いには不満が残ります。 ベース、ドラムは生々しく再現しますが、岩崎良美等高域よりの澄んだトーンを艶かしく再現出来ないですね。

オーバー・ヘッド型ヘッドフォンは装着感は別として、その音については人夫々感じ方がスピーカー以上に異なる様に思えます。 選択に当たっては聴き比べが出来れば充分に行って、聴き疲れしないものを選ばれる方がよいでしょう。 すこしナチュラル過ぎるかなといった位のものがお薦めです。


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