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睡夢庵の眼: 眼の分解能とカメラの画素数 [睡夢庵の眼]

【睡夢庵の眼: 眼の分解能とカメラの画素数 】

写真は人間が見て鑑賞するものですから、カメラに要求される解像度はどの程度が最低かちょっと検討してみる事にしましょう。

人間が物を見る際、2点を識別出来る最小の視角は視力1.0で1分(1/60度)と言われています。 当然ながらこの間隔は見るものと眼の間の距離によって変化します。 人間の眼も視野の周辺になるほど視力は低下しますので、自然と全体が視力の高い部分に入る様距離を取って鑑賞します。 この視野角は大体45°と言われます。
家庭での鑑賞用印刷は大きくてもA4サイズの用紙迄ではないでしょうか。 これを前提に視野角45°で考えると、鑑賞距離は約43cm位になります。

鑑賞距離を43cmとした場合、視力1.0の人間が識別出来る2点間隔は0.12mmという事になります。 例えば印刷された写真の実効面積を290*193cmとするとこの中に2,370*1,580画素があればこの要件を満たすことになりますので、概略2400*1600画素くらいが最低のレベルになりますので380万画素は必要という事になります。

但し、デジタルカメラでは4画素で3原色を拾い、補正で4画素を生成するなどしていますので、偽色や滲みがありますし、ブレやレンズ特性による解像度の落ちもありますから、この2倍以上は最低必要という事になるでしょう。 1000万画素クラス以上であればほぼ満足のいく画質が得られるということになります。

これで私が800万画素クラスのNikon Coolpix 995Sの分解能/画質に満足出来なかったのが裏付けられました。
因みに私の矯正視力は1.2~1.5、眼鏡を作る際1.5が半分位は識別出来る処に合わせて貰います。 眼鏡屋には強過ぎると言われますが、こう調整して貰わねばすぐに眼が疲れてしまい、逆に度の進みが速くなってしまうのです。

ディスプレィは元々この画素数よりも少ないのでこれだけあれば必要十分という事になります。

さて、視力と分解能の関係は以下の式で表されるそうです。

見分けられるギャップ = ( 2 * 円周率 * 距離 ) / ( 360 * 60 * 視力 )

実際の現場はどうなのか。 一番多く眼にしているのは印刷物ですので、印刷業界ではどうなっているのかを見てみるのが手っ取り早いのではないか?

やはり印刷業界の基準がある様です。 ここでは視力1.0の人は30cmはなれた印刷物が約300dpi迄を、2.0であれば約600dpiを識別出来ることを念頭に、視力1.0を基準に印刷解像度が定められているのだそうです。
日本のオフセット印刷物は通常350dpi(高品位雑誌レベル)、美術印刷で400dpiだということです。
高品位雑誌レベルの350dpiで一般家庭で使うA4サイズの用紙に印刷するとすれば、
横:29.7cm / 2.54cm * 350dpi ≒ 4093 ピクセル
縦:21.0cm / 2.54cm * 350dpi ≒ 2894 ピクセル なので
4093 * 2894 = 11,845,142 ピクセル 1200万画素あれば良いという事になります。

画素数雑誌高品質雑誌美術印刷
印刷ピクセル数300dpi出力時350dpi出力時400dpi出力時
 40万画素6.5×4.3センチ5.5×3.7センチ4.8×3.2センチ
160万画素13.0×8.6センチ11.1×7.4センチ9.7×6.5センチ
630万画素26.0×17.3センチ22.2×14.8センチ19.5×13.0センチ

《写真用の印画紙/一般用紙のサイズの関係》
印画紙呼称サイズ一般紙呼称サイズ
手札・Lサイズ89 * 127mm
ポストカード97 * 145mm
キャビネ・2L127 * 178mmA5148 * 210mm
八切155 * 206mmB5182 * 257mm
六切203 * 254mmA4210 * 297mm
ワイド六切203 * 305mmA4210 * 297mm
四切253 * 305mmB4257 * 364mm
ワイド四切253 * 364mmB4257 * 364mm
半切356 * 431mmA3297 * 420mm
全紙457 * 560mm



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