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行動制限後の各国の感染数の動き他 [睡夢庵 日々徒然]

【 行動制限後の各国の感染数の動き他 】

日本の感染者数が他国に比べ少ない理由を検索する動きが出ています。 この理由を遺伝的因子に求めようという事でしょう。 確かに外因的要素では説明出来ない状況にあるのは事実です。 また、ほぼ同じ政策を採ってもその結果にも色々な差異がありますし、夫々の採用のタイミングによっても大きく結果が異なる事は致し方がありません。

現在ワクチン・治療薬の開発が複数進められていますが、根治に結び付く結果が出るとは思い難いのが現実ではないのでしょうか。
なぜなら、コロナ系のウイルスに対する確固たる治療薬は出来ていないといってよいのでは?
現在のインフルエンザ、SARS、MERS、HIV しかり。

この現象は実験の様に何度もパターンを変えて同じ基盤上で行える物ではありませんから、出て来る結果は予測不能若しくは閉鎖環境での実験等から導かれるものとは全く異なったものとなり、本質が歪曲されてしまう可能性も持っています。 今後色々な研究結果が提起されるとは思いますが、短期での結論付けは現在のインフルエンザの様にこれといった方策が生み出せず、最終的に「集団免疫」の獲得による感染率の低減での死者減少を図るといった図式に納まるのではないでしょうか。

これに関してもそれほど大きな効果を生み出している様にも思えませんが・・・なにせ数千~万に及ぶ骸を未だに献上し続けているのですから。

山中伸弥氏は日本における感染率の低さを理由付ける要素について「Xファクター」と名付けた様ですね。
この種の要素に関しては素人が云々出来る物ではありませんがね。

《 基本的な阻害要素となり得る項目 》

・ 地理的空間的要素

 - 緯度/経度・気候環境

 - 人口・人口密度・可住地人口密度

     人      口
国  名 死者数 死亡率  人 口   密度 可住部  首都可住
中国4,638 0.0003% 1439323776 148 968 1313 
韓国263 0.0005%  51269185 551 2960 16102 
日本784 0.0006% 126476461 336 2901 15345 
 
アメリカ93,406 0.0282% 331002651 35 188 4439 
ロシア2,972 0.0020% 145934462 9 117 4882 
ブラジル18,859 0.0089% 212559417 25 333 7913 
イギリス35,786 0.0527% 67886011 278 1105 9300 
スペイン27,888 0.0596% 46754778 92 339 5225 
イタリア32,330 0.0535% 65273511 201 780 2222 
フランス28,135 0.0431% 65273511 118 344 20560 
ドイツ8,144 0.0097% 83783942 234 711 3851 
トルコ4,222 0.0050% 84339067 106 317 2725 
イラン7,183 0.0086% 83992949 50 462 8600 
 
スイス1,892 0.0219% 8654622 208 673 2724 
スウェーデン 3,831 0.0379% 10099265 22 385 4125 
フィンランド 304 0.0055% 5540720 16 269 1418 
人口密度の単位は人/㎢。

人口密度に関しては総面積/可住部面積何れも韓国が高くなっています。
首都の密度に関しては市街部(東京であれば23区内、ロンドンはインナー部、パリも市域ではなく中核部)のみになっています。 パリなどは市域全体となるとガクンと減ってしまいますので。
それと市域の範疇がそれぞれ資料によって異なる為、都市のデータに関してはどれが正しいやら・・・

・ 文化的要素

 - 対人間距離     身体的接触を嫌うか好むか、声の大きさ等
 - 衛生環境・観念   手洗い、うがい、洗顔、入浴の習慣
             マスクへの抵抗感の有無
 - 食文化       食事中の会話
             個食、取分けか
             箸、スプーン、ナイフ/フォーク、手etc

・ 政治・政策的要素

 - 政治体制      共産主義/集権国家と自由主義国家(衆愚追従?)
 - パンデミック体制  ICU、EOMO、陰圧室、感染症対応ベッド、
             防護服等の備蓄状況
 - 選択した防疫体制  出入国規制とそのレベル
 - 社会活動制限    都市封鎖、交通機関停止、道路封鎖
             学校等休止、企業活動の選択的停止、
             生活直結インフラ以外の停止、商店等営業停止
             遊戯施設封鎖
 - 医療環境      国民皆保険か否か

《 現状の数字が示す対策の有効度 》

1. 感染は全世界に及んでおり、地理的・気候的要素によって有意差は
   ないと考えられる事
2. 人口密度・可住地人口密度による有意差はない
   最も高いソウルや東京といった大都市でも制御は可能な事

3. 共産主義等の政治体制は施策の強権的実行が可能なので、各施策の
   有効性が短期間で現れる
   これは、中国、ベトナムにおいて顕著

4. 国家間/都市間の人の移動の阻止

   初期に出入国を自国民のみに限定するという政策を果断にとったか否か
   この処置を採った国では急激な感染増は起きず、結果として医療体制の
   維持に成功し、死者を少なくする事に成功している

   欧州は都市封鎖を行ったがタイミングを失し即効的効果が出なかった
   国境封鎖、道路封鎖といったレベル迄採用したが感染爆発後では効果は
   副次的レベルに留まった 中国では1省レベル状態で採用した結果
   大きな効果が確認されたと言ってよい

5. 事前の準備態勢

 ・ 「感染症パンデミック」に備えた医療環境は欧米諸国は日本の数倍上の
   感染症対応ベッドや陰圧室を備えていたが、積極的トリアージュを
   行った、ドイツ、スウェーデン以外は医療崩壊状態に陥り、感染者、
   死者共に天井知らずの状況に陥っている
   

 ・ PCR検査能力による効果

   PCR検査を大大的に行う事が感染拡大に大きく寄与したとケースは
   中国と韓国以外にはないのではないか
   PCR検査で拡散を抑えるには1次感染者レベルで抑え込める状況下で
   のみ有効に機能すると思われる
   濃厚接触者が2段階レベル迄でこれをスクリーニング出来るテンポで
   実施出来れば再生産能力分を抑え込めることは明らかになった

   拡散度が再生産能力を超えてしまうと最早感染確認手段に過ぎなく
   なってしまう

6. 都市封鎖をはじめとした経済活動の停止と外出の禁止

   結局のところ感染手段たる人と人との接触を断つという根源的処置
   のみが有効に働く事が追認された結果となっている
   効果については政治が如何にタイミングを失せず、大胆に対策を打った
   かがそのまま感染者数に表れている
   また、感染者数が少なければ医療も十分に施される為死者も出難い事は
   明らか

《 感染者数上位国対人口比の感染率と死亡率 》

★(東アジア3か国と現状の上位8か国の毎日の感染者数の推移)
  頭抜けて多いアメリカとデータの大幅修正で凸凹が酷いフランスは
  除外している
20200521_感染者推移.png

★(5月度の日本と欧州5か国の毎日の感染者数の推移)
  まだイギリスの発生件数が多く終息には程遠い
  5月11日に規制緩和にかじを切った欧州だが、ドイツでは集団感染が
  発生し、実効再生産数が1を再度超え1週間前の状態に戻った様だ
  フランスも17日以降平均400人近い状態、スペイン/イタリアは
  1000人台で緩和に舵を切ったが今のところ500~800台、
  で推移、未だそれ以前のイナーシャがあるが、降下傾向が消えている
  そもそも日本が規制に踏み切るレベルの感染者発生状態で解除を開始
  しているのでこれから2週間が見もの
  悪くすると対人口比でスウェーデンと同率の感染者/死亡者数で推移
  する事になり兼ねない
  そうなるとロックダウンは一体何の為の物だったかが問題化し各国の
  政治環境に乱れが生じ、自由主義圏の結束に空白帯が生まれる事になり
  米国の孤立/対立姿勢も相まって、中国の覇権的経済侵略を許す事に
  なりかねない。 中国の力による覇権獲得姿勢は6%を超える軍事費の
  増加にも鮮明に現れているにも関わらず・・・
  米国の衆愚はこの時期に最低の大統領を選択してしまい、その余波が
  全世界を緊張化に追いやってしまう
20200521_5月_日本vs欧州5か国.png

★(感染者上位の国と東アジア3か国の人口比の感染率と死亡率)
  通常致死率という形で表現されるので、感染者数と対比で示されるが
  これを人口比に置き換えると東アジアと欧米諸国との差がより鮮明に
  表れる
20200521_感染率.png 20200521_死亡率.png
感染率 死亡率
ロシアはサチッた様だがブラジルはまだまだ天井が見えずなので、ここでの数字には意味がない
他についてはすでに2か月以上経つのでまだ悪化するとは思うが、このまま終息に向かえば大幅な増加はないと思う
これを見ると日常見ている感染者数と死者数とはまた一味違った状況に気付く
これだけの差が出るとすれば、人種・文化に根差す生活習慣と危機に対する反応速に差があるとしか思えない(^^;)

《 特異的な対応をしている国との対比 》

20200521_特異例.png
  人口比
  人 口(人) 感染者数  死者数  感染率  死亡率
ドイツ83,783,942177,7788,1440.2122%0.0097%
スイス8,654,62230,6181,8920.3538%0.0219%
スウェーデン10,099,26530,7993,8310.3050%0.0379%
フィンランド5,540,7206,3993040.1155%0.0055%
 
日本126,476,46116,3677840.0129%0.0006%
アメリカ331,002,6511,528,56893,4060.4618%0.0282%
スペイン46,754,778232.03727,8880.4963%0.0596%
 
ベトナム97,244,66632400.0033%0.00000
台湾23,812,07344070.0018%0.0000%
ニュージーランド4,817,8901,504210.0312%0.0000%

上のグラフは急速に感染者を増やしたイタリアに接し、早い時期に感染者数を増やしたスイスと「集団免疫獲得」を優先したスウェーデン及びその隣国のフィンランドの感染者発生件数の推移を示したもの

スウェーデンでの死者の多くは老人ホーム等老齢者関連の施設を中心に出た様で、そこに気付けなかったのが最大の失敗だったとしている
抗体保有率を上げる事で2波、3波での感染率と死者数を減らすという方針自体はうまくいっているととらえている様だ
経済活動に対する制限を掛けていないので、国内経済に関する限りほとんどダメージを受けていない事を考えればこの方策の方が影響を受ける期間も短く優れた対応と考えている
また、国民もこの政府の選択には一部に批判はあるものの、理性的な反応を示し自然かつ有効な対応として受け入れている

基本的に低人口密度で都市集中型社会ではないスウェーデンでは「感染第2波」に備えて感染率を上げる事を優先した方策を取った或る意味先進国グループの中では唯一のケースかもしない
ここでは「ソーシャルディスタンス」、「罹ったかなというシグナルがあったら外出しない」といった個人レベルでの防御策だけで「新型コロナウイルス」の第1波を乗り越えようとしている

対比されるフィンランドは3月19日から出入国制限を開始、国内移動の制限、集会・イベント制限、飲食店営業禁止、教育・文化・スポーツ施設等の閉鎖、病院・ヘルスケア施設の訪問禁止といった処置を行い、3月27日首都封鎖も行うという様にスウェーデンとは異なる対応をしている

その他、いち早く出入国制限など強硬措置を行い、感染者、死者を抑えている国の指導者が、デンマーク、フィンランド、ニュージーランド、台湾等が女性宰相である事も話題となっている
北欧において異なる対策を行ったスウェーデンが男性宰相である事と合わせ、女性の方が緊急事態の対応には向いているのではとか(^^;)


それから、死者を出していないベトナムが採った処置は次の通り

私の記憶では国境封鎖と入国する外国人への制限を最初に開始した国では?

2月1日  中国発着のフライトをすべて停止し、ハノイ/ホーチミン市の
      学校を閉鎖
      3月25日迄海外便の全便欠航と入国者の14日の強制隔離
2月13日 ピンプック州の住民約1万人を21日間強制隔離(地域封鎖)
      これ以降感染者が出た町村は封鎖隔離
3月下旬  各自の社会的距離の確保、不要不急の活動の停止、在宅及び
      公共交通機関の使用を控えるよう強く要請
4月1日  15日間ほぼ全国での封鎖を発表し、タクシー、バスの営業停止
      交通機関の減便、必需ではないサービス業はすべて営業停止
      ハノイ・ホーチミン・ダナン等主要都市は食品・薬局・医療
      サービス以外はすべて営業停止
      公共の場での10名以上の集合の禁止や20名以上の宗教活動も
      禁止された。

・ 保菌者が国に入るリスクを可能な限り早く断つ(出入国規制-鎖国)
・ 個人間距離を確保して感染リスクを減らす(外出、集会等の禁止)
・ 感染者が出た場合はその生活域を隔離し外で副次感染者を出さない

この政策の異なりへ自然が下す審判は、この秋若しくは来年初春に「第2波」が来た時に明らかになるのだろうが、明白な事は強硬策を選択した国家においては「感染症パンデミック対策」の確立を急ぐ必要がある事だろう

現状のままでは同じ事の繰り返しになり兼ねず、そうなれば国家経済は完全に破綻の淵に置かれることは間違いない

こう考えると自然の脅威に対して力で立ち向かっても何の益もなく、要求される犠牲には通常生活の中で取り得る範囲で対応し、最小限に収める努力をするだけという、本来の東洋的思考が力を得るのかもしれない

西洋、キリスト教に代表される一神教世界では人間は生き物の中で唯一神から祝福されその分身として生まれたもので、自然は征服出来るものと考えるが、東洋では万物は自然の中の一芥に過ぎぬと考えるところから既に大きな隔たりがある
これが、自然の脅威のいなし方に差を生んでいる事が人口比で捉えた場合の感染率や死亡率の差となって表れているのではなかろうか


以上、最も原始的で常識的な処置をリスクを捕捉した途端に確実に実行しただけ・・・
果断な決定が出来る宰相と政治/メディア環境がある国が被害を最小に止め得るという地味な結論になりそうですが(^^;)

結局、国内に感染者・死者を出さないようにするにはこの当たり前が最強の施策だという事になる様です。
だだ、この実施のタイミングが思う様に計れないのが自由主義圏(^^;)

それにしても2か月間のロックアウトを行ったEU圏の経済的打撃はちょっと計り知れないものがあります。 倍の期間なのですから。
白色人種の感性で良く我慢が出来たなという感じでしょうが、意外だったのは日本人よりも遥かに理性的な判断を下している点です。
やはり東アジア特に日本・韓国は情の部分が高過ぎてこういう現実的現象を伴わず理性で判断を下す際には非常に甘えが出る様です。
商店街の人出、公園等の公共空間での振る舞いに如実に表れています。 まぁ、外国とは異なり完全ロックアウトではないせいもあるのでしょうが・・・

中国の僥倖は「武漢」という都市で突如感染爆発迄行ってしまった事と国家体制が共産党1党独裁という政治体制にあり、韓国の僥倖は「宗教団体」で発生したクラスターが切っ掛けだった事とSARS/MERSでの経験で体制的な準備があり、一挙に大量検査に踏み切れた事。

で、「日本」は? 外国からみるとのらりくらりとした「検討依頼」、「要請」、「自粛」レベルの規制でなぜこの感染拡大ペースなの? といった事なのでしょうね。 なにしろ感染拡大のテンポが異様に遅いのは事実ですね。 他にはロシア、ブラジル等も遅めでしたが一度火が付いたらロケット状態ですから、ご同類がない・・・

日本も一応緊急事態宣言を出し以下の様な実施状態
    2020/04/07 7都道府県
    2020/04/16 全都道府県に拡大
    2020/05/14 39県解除
    2020/05/21 大阪・京都・兵庫解除

他の国のほとんどは罰則を伴う規制をかけていますからね。
地域商店街等の人出、混み具合はこれが「外出自粛中」?でしょう。

参考迄)

《 国別人口等 》

世界の人口・国土面積・人口密度等
URL : https://worldpopulationreview.com/

可住面積当たりの人口密度
URL : https://www.rickety.us/2011/07/real-population-density/

《 国別新型コロナウイルス状況 》

全世界の国別の感染者/死者/回復者の複数表現でのグラフ
URL : https://coronachart.page/

《 IT系提供の移動データ 》

Google コミュニティ モビリティ レポート
URL : https://www.google.com/covid19/mobility/

Apple 移動傾向レポート
URL : https://www.apple.com/covid19/mobility

ゼンリンデータコム いつもNAVI
URL : https://lab.its-mo.com/densitymap/index.html

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死者発生県における致死率
20200521_都道府県別死亡率.png
地方別感染者数推移(3/13以降)
20200521_地域別件数推移.png
上位9県感染者累積関東7県日別感染者数
20200521_上位件数伸び.png 20200521_関東日別発生件数.png

神奈川県が一部規制解除に向かう様です。
ただ、発生源の多くが過去の院内感染の余波を未だに抑えきらずにいるのはある意味非常に危険な状態なのですが・・・


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